撮影:渡辺裕一 (c) Galleria AMICA

はっきり言って、実にふざけたオーディオセット です。

Goodman Speakers

まず、スピーカーを説明すると、スピーカーは、図体はでかいのにたった一つしかついていません。でも、よく見るとかの有名な Goodmans Axiom80 なのです! まさに伝説のフルレンジユニットで、その昔「Stereo Sound」で紹介されたその白黒写真が頭に焼き付いていたので、復刻版が出た時買いました。しかし自分用として買って楽しもうと思っていたにもかかわらず、計画がエスカレートしてとうとう作品ということになってしまいました。

音はといえば、おそろしく鋭敏で、まるで、昔の125cc4気筒のレーシングバイク(乗ったことないけど)並ではなかろうか? と思えるほどでホトホトまいりました。少し鳴らさないと音がカリンコリンと固くなり梅雨時になると湿気を吸ってダルになるとか、でも、うまく鳴ったときは、生演奏を聞いているみたいで鳥肌がたちます。こんなものが、今から40年も前に作られていたかと思うとオーディオは科学技術の産物とはいえ、まことに不思議な工業製品だなと思いました。いや、このレベルになると工業作品と呼んだ方がいいのかも知れません。

頭が丸いのもわけがあります。普通の四角い箱と比べると空間再現性は明らかに丸い方がいいです。理論でも実際でも、あと余分な振動源を絶つよう皮とコルクがはってあります。目玉のグリルはこのフルレンジ特有の高音がビームのように指向性が強く少しハイ上がりなので、拡散の意味もあります。また、スピーカーのかざりですが、余計な振動源になりますがデザイン上の理由でつけてあります。ベースになる理論は尊重して多少のことは目をつぶって遊ばないと、皆同じような物になるのでここらへんは作り手の信念に関する領域でしょう。(日本は特に趣味の機械であってもこの、遊びというか多少のことは目をつぶって個性ある唯一無二のものを作ろうという姿勢がないのが気になるなー でもその潔癖のおかげで今の日本があるのも確かなんだけど)

King of Audio

胸の位置にあるのが、プリアンプでは有名なQUADの回路で組んであります。でも、テープレコーダーやCDRをつなぐと、イコライザーの負荷が、低くなりすぎるので、バッファを入れた方がよかったかも知れません。でも音はそこいらへんのトランジスターアンプよりパワフルでとてもクリアです。ほんとにびっくりしたなー!

お腹の中にあるのが、レコードプレーヤーで有名なガラード301です。買ってきてバラしてみると、ほんとによく出来ています。これ軍用? とおもわず言ってしまうぐらい全てがゴツイです。一生回り続けるぞ! という決意がこもったターンテーブルです。アームはこれまた有名なオルトフォンRMG212です。CDが出てこういう部品が投げ売り状態の時買ったもので、今買うと、目玉が飛び出ます。このアームはSPU専用で30g近い重いカートリッジでないと使えません。針圧も3gぐらいかけるのが前提です。でも、私はMCカートリッジは大嫌いなのでSPUは使っていません。だいたい消耗品の針を交換するのにメーカーに送り返すとか、新品に交換するだとか、はっきりいって、タイヤが作り付けの自動車だったら、だれも買わないでしょ。メーカーに車送り返して、タイヤを新品にしてもらうとか、新車と交換なんて話聞いたことありません。消耗品は簡単に交換できる、これが機械の鉄則でしょ。音がいいからなんでも許されるなんて、私許しませんぞ! というわけで、MMです。それもディスコ用の重針圧カートリッジ、低域から高域に向かって上がっているAXIOM80に低域たっぷり、高域だらさがりでっちょうどいい感じです。なによりカンチレバーがぶっといのが、ソコツ者の私にはぴったり。

頭はパワーアンプになっています。単管で2エレメント入っている5998(we421)のプッシュプルでインターステージトランスで位相変換しています。NFBは出力トランスから出力管のカソードにほんの少しかかっています。電源はタンゴ 出力とイントラはタムラを使っています。出力はせいぜい15w位、それでもAXOM80には大きすぎました。シングル3wぐらいでちょうどよかったかも?

あと、書き忘れていたのが、顔の目玉のメーターはVUメーターになっていて、音楽を鳴らすとピコピコ動きます。鼻の部分は整流管GZ37の太管です。おかげでアンプ全体がすごく熱くなり、かなり強引なレイアウトです。足の部分はCDプレーヤーなどの機器用と左右にふりわけた、CD収納の引き出しになっています。足の甲には掃除機やその他の機器をちょいと使いたい時のためコンセントがついていて、実際使っても便利になっています。